虹雫と宮は強く強く手を握り、過去を思い出し、この先の事を思い描いた。
 辛いときはこうやって手を繋いでいけば大丈夫。そう思えた。

 もう古くなって外れてしまった三角のストラップ。けれど、虹雫はお守りとしてそれを袋に入れていつも持ち歩いていた。
 きっと過去の記憶が背中を押してくれる。そう信じているのだ。

 もう忘れたふりも、諦める事なんてしない。
 両手に繋いだ2人の手の感触を今でも覚えているのだから。

 △の思い出と〇の未来。
 虹雫は両方を胸に抱き、愛しい人達と共に物語を紡いでいく。

 これは、ありふれた友情と恋愛と夢の物語。△と〇の物語。

 めでたしめでたりではない、ずっと続く物語。



                                (おしまい)