「この女子高生を拘束し、卑猥な写真を撮り、ネットにバラまくと脅した」
 「…………ッ」
 「そして、それが嫌ならば女子高生が書いた作品を自分に譲れと言い寄った。いや、条件を突きつけた。そうだな?」
 「俺はそんな事をしていないっ!その女がデビューするのが怖いというから、変わりに作品を世の中に送り出しただけだ!」
 「なるほど、ゴーストライターをお願いしたと?だったら、彼女に報酬は払ってるのか?それとも、作品を譲る時にそれ相当の金でも渡したか?」
 「それは……」
 

 明らかな嘘に、宮は苛立ちを隠せなくなってくる。
 隣の蜥蜴はその様子が楽しいのか、クスクスと笑っている。いい性格をしている。


 「蜥蜴、あれを見せてくれ」
 「はーい!じゃあ、まず女子高生とお茶してる時の防犯カメラの映像がこれ、そして相手のコップに薬を入れる瞬間がこれねー。画像がかなり荒いけど大体わかるよね。まぁ、自分の事だし。そして朦朧としている女の子をホテルに連れ込むのがこっち。これは結構苦労したんだよねー。今より若いけど面影はまんまだね。そして、おじさんのPCを見せて貰ったけど」
 「お、俺のPCッ!?」
 「あぁ、これ?おじさんが大好きだった椛くんが奪ったんだよ?気づいてなかったんだねー。彼はそんなに好みだった?」
 「くッ、お前たち、これは窃盗だぞッ!!」
 「始めにあいつの小説を盗ったのはおまえだぞッ!!」


 澁澤の言葉に怒りの感情が抑えられなくなった宮は大声を出して、澁澤の胸元のバスローブを引っ張り体を持ち上げた。思いきり睨み付けた後に、宮はそのまままた男の体をベットに投げつける。


 「パソコンからは他の人間が持っているのはおかしいとされる、あいつの小説の原本、『夏は冬に会いたくなる』の他にも投稿サイトに未発表だったものもあるな」
 「それは私が書いたもので」
 「もう止めてくれ………これ以上言い訳をされると、お前に殴りかかりそうなんだ……」


 気づくと宮の腕は激しく震えていた。それを止めるように強く握りしめて、手のひらには爪が食い込んでいる。今にも肌を傷つけてしまいそうだった。