澁澤は、作家でありネタや原稿を全てPCの中に入れている。そのため、出かける時はいつもPCを持ち歩ているようだ。そうなれば、虹雫を脅し盗作した小説の原作、そして虹雫の写真も入っている。そう考えられた。
 そのため、澁澤のPCを確認する必要があった。そのため、全てのデータをコピーするか、PC自体をすり替える必要がある。
 コピーする事がその後のバレる可能性が低いのでそちらを行いたいが、そのためには彼からPCを預かり、澁澤がいない時間を見つけなければいけない。しかも、長い時間が必要になるはずだ。
 そうなるとPC自体をすり替えて、バレないうちに撤収し、データを確認し元に戻す。

 この2つを考えていた。
 前回、楽屋で澁澤のPCは確認済みであった。剣杜は同じPCを購入し、持参していた。
 
 剣杜自身は、長時間澁澤からPCを預かる事は困難だと考えていたため、PCをすり替えて、早めにコピーし解析してもらう事が1番だと思っていた。



 「椛くん、この部屋だね?」
 「あ、はい。そうですね」
 「椛くんから誘ってくれて嬉しいよ。ずっと君の事が気になっていたからね……」
 「そうなんですか?澁澤さんみたいな紳士的な男の人にそう言ってもらえるなんて、嬉しいです」