「よかったね。やりたい事見つかって。宮ならいろんな国の言葉を覚えられるだろうね。どこがいいかな?韓国語に中国語、ヨーロッパ系もいいよね」
 「そうだな。中国とかは仕事を始めたら必要になりそうだね」
 「うんうん。よかったよかった」


 満足そうに虹雫の笑みが、宮にもうつる。
 彼女といると、とても満たされ気がするのだ
 

 「虹雫、ありがとう」
 「え?何が?」
 「いろいろ俺のために提案してくれて。いろんな事が知れて楽しかったよ」
 「うん。私も楽しかった。海外旅行に行く時は頼りにしているよ」
 「それなら頑張らなくちゃな」


 大人はただ言うだけで何もしてこなかった。何でもなれる知力があるのだから、何でもやればいい。
 そんな考えではない虹雫。やってみて好きな事を見つけて欲しい、そんな気持ちが伝わってきたのが嬉しかった。
 前々から大切にしてきた虹雫だが、その宮はその時から妙に虹雫の事が気になり、好きになっていった。
 
 優しさと彼女の明るさが、とても頼もしく、そんな彼女と幼馴染だけじゃなくてずっと隣にいたいと思った。



 そんな事を思い出していくうちに、一条との待ち合わせ場所に到着した。
 今日で、全ての事を終わらせるべく、宮は車から降り、建物へと向かった。


 もう虹雫の背中を見送るのは終わりして、隣を歩けるように。