全ての写真を拾い終えた宮は、その写真をポケットに入れ、スマホを取り出した。
 そして電話を掛けた先は、蜥蜴でもなく剣杜でもなかった。もちろん、この2人に連絡はしなければいけないが、宮が初めに話が必要だと思った相手は違かった。


 その相手は夜中にも関わらず、宮が電話をすると1コールで通話になった。


 「こんばんは。お久しぶりです。夜分遅くに申し訳ございません。一条さんとぜひお話したいことがあってお電話しました。明日の朝にでもお会い出来ませんか?」


 いつもより丁寧な口調で、爽やかな声音。
 電話の相手、一条里枝は明るい声でその約束をすぐに了承した。


 明日は長い1日になる。
 そして、宮、虹雫、剣杜の3人にとって重要な日になると予感していた。
 スマホにつけられた三角型のチャームが、ゆらゆらと揺れる。そのお揃いの三角は、宮にとってお守りでもあった。この三角がきっと3人を守ってくれる。あの日の約束を交わした時のように、手を繋いで秘密を共有したあの頃のように。ずっと、3人の繋がりは途切れる事なく続く、と。

 そして、本当の笑顔で語り合えるようになるはずだと。

 宮は静かな夜に密かに動き始めた。