31話「不安と予感」





 2人はいつもより強く抱きしめあってベットで体を休めていた。
 虹雫は泣きつかれたのか、それとも恐怖から逃れ緊張の糸が切れてたの、はたまた両方なのか。宮がベットにつれていくと「お風呂にいきたい」などとも言わずにそのままウトウトしていた。


 「おやすみ、虹雫……」
 「……でも、私、一条さん……出版社の人に連絡しなきゃ」
 「………大丈夫だよ。俺がなんとかする」


 虹雫の言葉に、一条里枝の名前が出てきたのには宮も驚いた。けれど、そんな表情にも気づかずに虹宮は瞼が重くなっているようだった。


 「……何か無理してるの?私に2人で隠し事してたの……」
 「……気づいてたのか?」
 「わかってるよ。どんなに私が鈍くても……2人がなんか……おかしいなって事ぐらい……」


 更に驚いたのは、続く言葉だった。
 けれど、それと同時に納得する。自分が虹雫や剣杜のささいな変化に気がつくように、虹雫も宮や剣杜のちょっとした事に「あれ?」と感じてしまうのだろう、と。
 幼馴染みというのは、嘘がつけない関係なのだろう。