「三角モチーフか。俺らの印だもんな。いいな、かっこいい!」
 「本当はサングラスとかの方がいいのかなって思ったんだけど。こういうシンプルなのなかなかないから。三角の形はどうしても欲しくなっちゃうんだよね」
 「そうなんだよなー。選ぶときにあったら、それにしちゃうもんな」
 「うんうん」


 三角はあの日から3人のシンボルマークになっていた。
 けれど、3人の口からは「あの日」については出てこない。
 忘れたのだから、話す事もないのだ。なかった事なのだから。


 「私も欲しかったから、お金貯めて買おうかなって思ってるの。そしたら、お揃いだね」
 「そういうと思ってた。はい、虹雫の分」
 「え、えぇ!?」


 そう言って宮がカバンから取り出したのは、剣杜に渡した紙袋と全く同じものだった。
 どうやら、一緒にプレゼントを選びに行った時に虹雫が欲しそうにしていたのがわかってしまったのだろう。やはり幼馴染に隠し事は出来ない。
 だからと言って、ハイブランドのものを簡単に貰う訳にはいかない。


 「こんな高価なもの貰えないよ!私はお祝いしてもらうような事なんて何もないわけだし」
 「これ」
 「あ……それ……」


 宮はポケットからスマホを取り出し、それを虹雫の目の前に持ってくる。
 そこにはユラユラと揺れる金色の三角型のストラップがあった。剣杜にあげたものと同じデザインだ。