こうやって自分の悩みを否定もせずに受け入れてくれる。
 「悩みすぎだろう」「そんな事気にするな」とは絶対に言わない彼ら。だから、心地いい。
 だからこそ、2人に甘えすぎずに2人のために何かしたいと思うのに、いつもうまくいかない。
 じっと2人を見つめると、彼らは「なんだ?」「どうした?」と不思議そうな顔で見返してくる。きっと彼らにとってはいつもの事なのだろう。全く気にしていない様子なのがわかり、虹雫は眉を下げながら微笑した。

 運ばれてきた苺のシャーベットは、果肉が入った甘酸っぱくも爽やかな味だった。
 虹雫は今の自分と同じだな、と思いながら「宮、剣杜。ありがとう」と言い微笑むと、2人は「何の話だ?」ととぼけて笑ったのだった。







 「あ、これお祝いのプレゼント」
 「宮。もう少しサプライズで渡しなよ」
 「そういうの俺が出来ると思うか?」
 「「思わない」」


 お店を出ててしばらく裏路地を歩いた当たりで、宮は思い出したかのようにバックから包装された箱を取り出した。そこには剣杜が専属モデルが決まった高級ブランドの「one sin」のロゴが入った紙袋があった。それを無造作に剣杜に渡した。


 「2人で選んだよね」
 「虹雫が、絶対にこれがいいって言うから。それにした」
 「でも、ちょっとお高めで半分以上宮に出して貰ってるから。宮にお礼を言ってね」
 「そういうのは言わなくていいんだって!ったく……。ありがと、2人共。上げていい?」
 「どういたしまして。ぜひぜひ、今開けて欲しい!」


 大通りまで出た3人は、端により3人で集まる。
 剣杜はサングラスを外して、プレゼントのリボンを外して「なんだろ?」とわくわくした様子で開けていく。そこから出てきたのは、小さな箱で中からトライアングル型のゴールドのキーホルダーが出てきた。ストラップだ。しっかりと、one sinと刻印も入っている。