甘やかし上手なエリート医師に独占溺愛されています


だからって、ラーメンが食べたいですだなんて九条先生に言えるはずもなく…。

「九条先生は?なにか食べたいものありますか?私この辺り詳しくなくて」
「うーん。この近くだと瀬尾さんに紹介したい美味いラーメン屋があるんだけど。女の子連れてランチ行くのにラーメンはないか」

せっかく聞いてくれたのに申し訳ないと思いつつ先生に同じ質問を返すと、まさかの返答が。

「ラーメン?!」
「あれ、もしかしてラーメン好き?」
「大好きです!」
「よかった。フレンチの元シェフが出してる店なんだけど、中華そばが絶品なんだ。行ってみる?」
「わぁ!ぜひ!」

フレンチのシェフが手掛けたラーメンなんて初めてで、ついウキウキして満面の笑みで九条先生を見上げると、満足そうに微笑んだ先生が私を見て頷いた。


電話で空席を確認してくれた九条先生と共についたラーメン屋さん『麺屋 つむぎ』は、一見お寿司屋さんや割烹料理店のように見えるオシャレな店構え。

暖簾をくぐると、白木のカウンターが8席に、4人掛けのテーブルが2つというこぢんまりとした造りで、ラーメン屋さん独特のせかせかした感じがしない。

九条先生は店主の方とお知り合いらしく「悠くん、久しぶりだね」と入るなり声を掛けられていた。

「お久しぶりです。いきなり電話してすみません」
「いいよいいよ。この通りまったりしてるから。何年ぶりだ?海外に行ってたって話だったよな」

カウンターに座った私達の前に水の入ったコップを置くのは、50代くらいの恰幅の良い男性店主。