甘やかし上手なエリート医師に独占溺愛されています


なんだか生活の違いが露呈したようで恥ずかしい。
料理は苦手ではないけど、朝早くに集合して移動する出張健診が多く入ると、さすがに疲れるし眠気にも勝てずに出来合いのものを買ってしまう。

レンジでチンするだけの冷食なんて有り難すぎる代物だった。

返事に窮していると、ちょうどレントゲン車にいる間宮さんから最後の受診者の撮影が終わったと連絡があった。

「先生、お待たせしました。どうぞお昼休憩取って下さい。午後は13時半からですけど、先生は14時までに戻ってきていただければ大丈夫ですから」

間宮さんからの電話を切って九条先生に向き直ると、「瀬尾さんは社食行くの?」と聞かれたので頷く。

「はい」
「俺も一緒にいいかな?」
「え?」
「せっかくだし、俺も瀬尾さんイチオシの名取フーズの味を知りたいな」

にこやかにそう言われても…、九条先生は本当にいいんだろうか。

私たち事務バイトや朱音ちゃん達事務さんは社食で食べたり、朝コンビニで買っておいたおにぎりを健診会場で食べることもあるけど、普通出張健診に来た派遣の先生や看護さん達は、だいたい外へランチに出ていく。

「この辺、有名なカフェとかお店が多いみたいですけど、いいんですか?」

さっき織田さん達が嬉しそうに話していたのを思い出す。

「俺が一緒だと迷惑かな?」
「まさか!」

肩を竦めて心配げに聞いてくる九条先生に、慌てて首を振って否定する。迷惑だなんてとんでもない。

ただちょっと…緊張しそうだなと思っただけで。

「じゃあお供させて」
「あ、はい。ぜひ」