甘やかし上手なエリート医師に独占溺愛されています


「うちの先生だけじゃなくて、派遣の人達もみんな遥ちゃんに夢中だもんね」
「ふふふ、何それ」

よくわからない朱音ちゃんの発言に笑っていると、ふと大事なことを思い出して「あ!」と大きな声が出た。

「どうしたの?」
「朱音ちゃん、今日クマ先生じゃないからマーゲン終わるまで待機って分かってる先生がいない!」
「そうだった!」

健康診断は医療行為に該当するため、万が一を考えて受診者さんがいる間、最低1人は医師に待機していてもらっている。

このフロアの健診が終わっても、最後にレントゲンが残っている。
特にマーゲンは比較的時間が掛かる検査なので、お昼休みがずれ込む。

駐車場に停めているレントゲン車に乗っている技師か介助の人間から最後の1人の撮影が終わったと連絡があるまで、いつもはだいたいC健の医師か、よく来てくれるクマ先生が残ってくれる。

生憎今日はC健の医師もクマ先生も不在。
慌てて医師の問診の個室に行ったけど、2つの小会議室はすでに無人だった。

「ぬあーしまった!」
「ごめんね、私もしっかり伝えてれば…」
「何かあった?」

会議室が4つ並ぶ廊下で2人で話していると、一番大きな会場に近い部屋から九条先生が首を傾げながら出てきた。