甘やかし上手なエリート医師に独占溺愛されています


その後は特に大きな問題もなく健診は進んでいった。

午前中最後の受診者さんにレントゲン車のある場所を説明してエレベーターへ誘導し終わると、大きな会議室内はホッと空気が緩んだ。

そこで朱音ちゃんがみんなに声を掛ける。

「お疲れさまでした。午後の受付は13時半からなので、それまで各自お昼休憩に入って下さい」

口々にお疲れ様と言い合いながら、昼食に向かうのがいつものパターン。
しかし今日はなぜか朱音ちゃんをはじめ、若い検査さんや看護さん達に囲まれてしまった。

「遥ちゃん。さっきのクレームフォローありがとね!」
「え、ううん。私は特に何も…」

むしろ場を荒らしてしまった気がする。的確なフォローを入れたのは九条先生だ。

朱音ちゃんに首を左右に振ってみせると、看護師の織田さんがやっと聞けると息巻いて私に話しかけてきた。

「瀬尾さん、あのイケメン医師って何者?!」
「今まで来たことない人だよね?」

隣の個室で心電図を担当していた検査科の三橋さんも興味津々で私に詰め寄ってくる。

「えっと、クマ先生の代理でお願いした九条先生です。後輩らしくって、急遽インフルになったクマ先生に代わって来ていただいて…」
「じゃあ派遣登録の医師ってわけでもないの?」
「はい。最近まで海外に留学してたって聞きました」
「ええっ?!留学なんてめっちゃ将来有望!ルックスも腕も良いとか反則…」