甘やかし上手なエリート医師に独占溺愛されています


ダークブラウンの髪は軽く流してスタイリングされていて、少し長めの前髪からのぞくくっきりとした切れ長な二重の瞳が真っ直ぐにこちらを見下ろしている。

「はい、え?私ですか?」
「受診票の書き方でわからないところがあって。中原さんが不在みたいだから」

九条悠(くじょう ゆう)先生が受診票のサンプルを持って来たのを見て、間宮さんは「車にいるね。朝礼始まる頃に来るよ」と会議室を出ていった。


九条先生とは今日が初対面。
C健の医師でもないし、間宮さんのように医療系派遣会社から来てもらっているわけでもない。

そもそも本来は、いつもお願いしている熊澤先生に今回も問診を担当してもらうはずだった。

熊澤先生は50代くらいのベテラン男性医師で、名前の通りクマのような見かけをしているので、みんなから『クマ先生』と呼ばれ慕われている。

縦にも横にも大きくスキンヘッド。しかし目元はぱっちり可愛らしく、穏やかな話し方で威圧感は全く無い。

バイト当初から私を『遥ちゃん』と呼び可愛がってくれて、きっとお父さんってこんな感じだろうなと思わせてくれる温かみのある大好きな先生。

しかし昨日、急遽体調を崩してしまい来られないと連絡があった。

『ごめんね、遥ちゃん。季節外れのインフルエンザに掛かっちゃって』
『え?!大変!大丈夫ですか?』