この香りは

私の一番好きな匂い

懐かしくて涙が溢れる。

店長とマキさんが顔を見合わせて、頷いた。

「サナ、分かるのね。そうよね」

これは、

「すまん、黙ってて...」

紛れもなく玲音の匂い。

「いえ、違うんです。ただ、」

「なに?」

だけど、今はまだ

知らないフリを、させてほしい。


「...夢を見ていただけですから。」


約束したから。