35cmの音

知らない男の子がこちらを見ていた

「ねぇ、君ってさ、死ぬの?」

あの時、

“そうだよ”って言えずに
ただ泣くことしかできなかった。

その理由も大人になった今なら分かるんだ。

あの時の、たった16歳だった私は

まだまだ子供で一人じゃ何もできなくて

だけど、

死にたくはなかったんだ。

孤独で、寂しくて、弱かった。

だから、ようやく誰かに
見つけてもらえた気がしたんだ。