35cmの音

気付いたら

「こんなはずじゃなかったのにな」

雪を眺めながらそう嘆いていた。

俺は一体、誰なんだろう

もう自分が何なのかすらも分からない。

全部捨ててまっさらで何も無い

0(ゼロ)になった空っぽな

そんな価値の無い俺を
見つけてくれる人はいるだろうか。

それでも構わないって
言ってくれる人はいるだろうか。

街に響く雑音の中で

ひたすらそんなことばかり考えていた

「ねぇ、誰か俺を見つけてよ」

そんな俺の弱くて小さな声は

誰の耳にも届かなかった。