35cmの音

ある日突然、

ピンと張り詰めていた糸が切れ俺は歩みを止めた。

前を見て歩く事をやめた。

レールの上から地面に降りて身を潜めた。

誰にも見つからないように
フードを深く被り息を殺して隠れていた

ゴールに辿り着く事が怖かった。

ゴールすればきっと、そこに俺はもういない。

他人のフリをして、大人の仮面を被り
一生涯を孤独に生きていく。

そんな想いを

“二度”もしたくはなかった。


“大人になりたくない”


心でそう叫んでいた