天才か、狂人か。     ~変 態 化学教師、野球部の監督にさせられる~



「よっしゃー!すげぇぞ岩瀬~!!」


1回戦の緊張からここまで4試合目。

すっかり落ち着きを取り戻したゴールデンルーキーの技巧派ピッチングが冴え渡る。


もちろん簡単に三振しない所が、
さすが享令高校だけど、

鋭い金属音が響いても、やっぱり今までとは違う“速さ”の打球が飛んでも、

・・残念、そこには久慈くんが居る・・!


1回表を無難に三者凡退に終わらせて、
みんなが全力疾走でベンチに戻ってきた!!



「よし!!いけるぞ!ぜってぇいける!!」


龍ちゃんの・・中村くんの・・みんなの表情と、攻撃に向けた気合いの円陣が物語る。


もうウチらは[0―33]で負けた叙々苑チームじゃない。


私学4強の一角と互角に渡り合える・・
下克上ノーシード校!!



「チェストーー!!」


「「「うぉおおお!!!」」」


先頭バッター、もう1人のゴールデンルーキーが出塁して、

マウンド上の川崎君・・そして享令ナインが一瞬見せた焦りの表情。


<・・こいつら・・昨年と全然違う・・>


そんな言葉が聞こえてきそうな程、
ウチらの先制攻撃が炸裂。


2番の荒木くんが送りバントを決めた後・・


「ナイバッチ中村~~!!!」


3番 キャプテン中村くんのタイムリーヒットで、青愛学園が先取点を上げた!!