「月が…綺麗だ。」
 闇夜の中、そう呟きながら空を見上げた少女がいた。
 その目は月の光に反射して藍色に輝いていて、深い深い闇の中に囚われていた。
 彼女の白い手には赤黒いインクが飛び散っていて、まだざわめきを無くしていない夜の街からは明らかに浮いていた。
 しかし少女はそんな空気を気にする事なく空を見上げている。
 

 彼女は、光に行くことができるのか。