あれ、この顔、昼休みの時も似たような──…


「オレ、美緒ちゃんのこと───…」


千花くんが意を決し、顔を上げた時──…



「無理です、ごめんなさい」

「「…えっ??」」



頭上から聞き覚えのある声がして見上げると私たちの間に立ち、腕組みをしている日山くんが現れた。


「…え、オレ日山くんには言ってないんだけど…」

「うん、花崎さんの代わりに返事してあげた」

「はぁぁぁっ??」


火花を散らし、睨み合う男子2人を交互に見る。


「ってゆーかチカくん、そろそろ部活行かなきゃヤバいんじゃない?」


日山くんの言葉に千花くんは「あっ!!」と声を出す。

「そうだった!!ごめん、美緒ちゃん!オレ行くわ!また明日も補習頑張ろうな〜!!」

パン3つとおにぎり2つを両手に抱えた千花くんは慌てながら立ち去って行く。

「バイバイ千花くん!また明日〜!!」

ブンブンと手を振って千花くんを見送る。


そして、千花くんがいなくなった後、私たちの間に沈黙が流れる。


「…えっと…日山くんは何故学校に?」

「同じクラスの人たちと学校に残って一緒に勉強してただけですけど?」


それが何か?と言いたげな表情で見下ろされる。