補習に行かないと留年するという焦った気持ちと日山くんのお供として一緒に帰りたいという気持ちを天秤に掛ける。

そして日山くんを待たせたくないと思った結果───


「大丈夫だよ、気遣ってくれてありがとう」


留年したくないと思った私は日山くんのお誘いを断った。(そもそも誘われてない)

申し訳なく思いながら微笑むと「あっそ」と素っ気ない返事が返ってきた。

すると日山くんの手がゆっくりと私の顔に向かって伸びてきて、むぎゅっと頬をつままれる。


「ひ…ひひゃまく───」

「ば────か」


真顔でそう言った日山くんはぱっと手を離し、背を向けてスタスタと歩き出す。


「あ!日山く〜ん!あたしたちと一緒に勉強しない?」


数人の女子たちにナンパ(?)されている日山くんをぼーっと見つめる。


ブラック日山で罵られたのは嬉しかったけど……

日山くんと一緒に勉強は羨ましい!!!


ホワイト日山に切り替えているひゃーまくんと彼を囲んで幸せそうな表情をしている女子たちの姿になんだか虚しい気持ちになる。


…ちくしょうっ、リア充滅んじまえっ!!

と心の中で叫びながら私は補習へ向かった。