とりあえず、日山家の柔軟剤の香りを楽しみにして今を生きよう。
そう決めた私は涙を堪え、神様に感謝する。
「美緒ちゃん!おはよう!」
千花くんが横から顔を覗き込むように挨拶をしてくれた。
「千花くん!おはよう!」
千花くんの方を向くとふわりと石鹸の香りがする。
「…千花くん、香水か何かつけてる?」
「え!?オレ何か臭い!?
あ、もしかして汗拭きシートの匂いかなぁ…」
「千花くん何部なの?」
「バスケ部だよ!んで、今朝練終わったばっか!」
「そうなんだ……」
バスケ部、朝練などとのワードにめっちゃ青春だ…!!と心の中で叫んだ。
千花くんは高校生らしい生活を送っていらっしゃる。
私は中学の頃から本気で部活なんてしたことがなくて、毎日とわぴで頭がいっぱいだ。
だから私からすれば部活をしてる人ってキラキラしててなんだか眩しいんだよね…
「あのさ、美緒ちゃん。よかったら連絡先───…」
「ち〜か〜!何してんだよ、早く〜〜!!」
遠くの方から千花くんの友人らしき呼ぶ声がする。
「ち〜か〜!!」
「わかったわかった!!
ごめん美緒ちゃん、オレ行くね!」
「うん、またね!」