〜そして、美緒と別れた後の千花くん〜
練習着に着替えた千花は体育館に足を一歩踏み入れた途端、「はあっ…」とため息をつき、膝から崩れ落ちた。
「お、千花〜補習おつ〜!」
「顔真っ赤じゃん!熱中症か〜?」
千花に気づいたバスケ部員たちは彼の元へ駆け寄る。
「…あのさ、花崎美緒ちゃんって知ってる?」
千花の質問にきょとんとする友人たち。
「花崎…あぁ、見た目詐欺美少女って言われてる子でしょ?」
「その子がどうかしたん?」
千花は両手を首の後ろに回し、俯きながら話す。
「その子と今日補習が一緒で…その、オレの名前綺麗でかっこいいって言ってくれて……」
「へ〜めっちゃいい子じゃん」
「──で、千花は花崎さんのことどう思ったわけ?」
「…癖はちょっと強かったけど、勉強も教えてくれたし、話すと結構楽しかったし、なんていうか……グッときた」
千花の言葉に友人たちは驚き、顔を見合わせる。