「美緒ちゃん課題付き合ってくれてありがとう!マジで助かった!」
「大丈夫だよ!今日から1週間補習だけど、お互い頑張ろうね!」
「うわ、そうだった。毎日あるのかぁ…」
肩をがくりと落とす速水くんにクスッと笑う。
「速水くん、これから部活だよね?練習頑張って!」
「うん!…あ、あのさ!」
「ん?」
正門へ向かおうとした時、速水くんに呼び止められる。
「お、オレのこと…下の名前で呼んでほしい!」
「へっ…」
下の名前って───…
「い、いいの?」
好きになれたとは言ってたけど、まだ少し気にしてるんじゃ…?
「基本友達にも下の名前で呼ばれてるし…
特に美緒ちゃんには"千花"って呼ばれたい!」
「だめかな…」と言う速水くんの姿が一瞬だけ子犬に見えた。
「速水くん…じゃなくて、千花くんがいいなら全然!」
「っ…!あ、ありがとう!」
「うん!バイバイ、千花くん!また明日〜!」
「う、うん!また明日!」
ほんのり顔を赤く染めた千花くんはブンブンと手を振って私の帰りを見送ってくれた。