「ははは速水くん!?ななな泣いて…っ!?」


どうしよう、男の子泣かせてしまった…!!
しかも初対面の人!!


「ごめん…うわ、オレ謝ってばっかだ。ほんとごめっ…いや、そうじゃなくて……
『かっこよくて綺麗な名前』とか初めて言われて嬉しくてつい……」


速水くんは涙を拭きながら何度も謝った。

表情も豊かな上に感情も豊かとは…

純粋な人なんだなぁ…


「ありがと、美緒ちゃん。オレ、自分の名前好きになれるような気がする」

「そ、そうなの?私何もしてないけど…」

「ううん、美緒ちゃんの言葉でなんか救われた」

「そっか…」


速水くんは満面の笑顔で「うん!」と頷く。


「…ってどうしよう!オレ女の子の前で号泣しちゃった!!」


速水くんはうわ〜…と言いながら両手で顔を覆い隠す。


耳が真っ赤ですぜ、旦那…


「男は泣いて強くなるから沢山泣いていいんだよ!だから速水くんが泣きたくなったらいつでも胸貸すよ!!」

「わー美緒ちゃん男前〜!」

「えっへん!」


私は誇らしげに胸を張る。


その後、課題を提出し終えた私たちは昇降口に行き、靴を履き替えた。