うーん…あんまり家族以外の人にあれをやりたくなかったけど……
心の中でため息をついた私は彼の耳元へ顔を近づける。
そして大きく息を吸い込み、
「コッコッコッコッコケェェェェッ!!!」
ニワトリの鳴き声のモノマネをして起こす作戦を実行した。
「ゔ、ゔーん……」
顔色が悪くなってる気がする。
初対面なのにニワトリのモノマネしてごめんね。
でも、クオリティだけは高いってよく家族やかよたんに褒められるから!!
「コッコッコッコッ───コォォケコッコォォォ!!!!」
「ぎゃあぁぁぁっ!!??」
顔を真っ青にした速水くんが勢いよく体を起こした。
「はぁ…はぁ…なんっ…えっ…にわとり……」
叫びすぎたのか、息が乱れている。
「おはよう、速水くん!」
「…あっ、隣の席だった…えーっと…」
「花崎 美緒です!」
「ど、どうも……」
寝起きなため、どうやら頭が働いていないようだ。
「ご、ごめん、急に叫んじゃって……
なんか夢の中でにわとりがバイオ産業のプレゼンテーション始めて、それですごいびっくりしちゃって……」
「ううん、私の方こそニワトリの鳴き声で起こしちゃってごめんね」
今日初めて速水くんと話すのに…
私の第一印象ニワトリ女になってしまった。


