「とわぴをください…」
両手を差し出し、頭を下げる。
すると先生はニッと笑い、
「じゃあこのキーホルダーと引き換えとして、気持ちよさそうにぐっすり眠っている速水を起こしてやってくれ」
とわぴのキーホルダーが掌に乗せられる。
「…速水とは?」
「今、課題ほっぽり出して寝てる奴」
「ほら」と顎で促され、後ろを振り返る。
視線の先には机に突っ伏してすやすやと寝息を立てている男の子。
しかも私の隣に座っていいか聞いてきた人だ。
え、あの童顔男子を起こせってこと!?
「じゃ、先生職員室戻るから。速水のこと頼んだぞ。それと課題終わらせないと帰れないぞって言っといて」
「よろしく〜!」と言って教室を出て行く先生。
「ええ〜…」
気がつけば教室には私と童顔男子こと速水くんって人がぽつんと取り残されている。
起こさなければならないのか…
仕方ない、彼を起こしてすぐ帰ろう。
「速水くん、起きて〜」
ゆさゆさと彼の体を揺らしながら声をかける。
だが、起きる気配はない。
「あ!速水くん!ナイスバディなお姉さんがいるよ!!」
「…うーん…ナイス…バイオ産業……」
…なんか難しい用語を寝言で呟いてる。
男の子ってナイスバディなお姉さん好きじゃないの!?
うちの兄だったらすぐに起きるのに…


