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補習を行う教室に到着すると中には既に赤点を取った生徒が数名席に座り、問題を解いている。
「お〜花崎来たか。これ期末テスト対策のプリント。教科担当の先生方が赤点を取った生徒のためにわざわざ作ってくださったんだ。しっかりやれよ」
「…は〜い」
「このプリント全部終わったら提出して帰っていいからな」
「…うい〜」
渋々と課題を受け取り、空いている席に座る。
そして、しばらくプリントと睨めっこをしていると教室の扉が勢いよく開いた。
「やっべー!遅刻したー!」
エナメルバッグを肩に掛けた男の子が慌ててやって来る。
「遅刻とは良い度胸してるな〜。そんなに留年したいのか〜?」
先生は半笑いでプリントの束を男の子に渡す。
「違うよ!日直で遅れただけだし!」
「はいはい。このプリント解いたら帰っていいからな〜」
「オレこの後部活あるから!」
「ったく…」とため息をついた男の子とふと目が合う。
「…ごめん、隣座っていい?」
「あ、あぁ…はい、どうぞ」
「ありがと!」
男の子はニカッと笑い、隣に座る。
…日山くんとは違うタイプの爽やかな人だなぁ。
隣で問題を解いている彼をじっと見ながらそんなことを考える。


