言ってなかったが、かよたんも私と同じ乙女ゲームオタクである。
私みたいにオープンなオタクではなく、隠れオタクだ。
何故ならかよたんは現在バスケ部の男の子に片想い中のため、オタクなのはバレたくないらしい。
ちなみにかよたんの推しは「ドルスタ」に登場する月影 多琉音っていう男の子。
美味しそうな名前だよね。
「んじゃ、私は売り切れる前にさくっとタルトくんのタペストリー買ってくるわ!美緒は補習頑張って〜」
「ま、待ってかよたん!お金払うからとわぴも買ってきてほしいなぁ……なんて……」
「はあん??」
瞳孔全開にしたかよたんが物凄い形相をしながら振り返る。
「馬鹿言ってんじゃないわよ。
ってかあんたには現実に推しがいるんだから実物でも拝んどきなさいよ!」
「日山くんととわぴはマジでそっくりだけど描き下ろしイラストとなると話が違う!」
「サンプル画像本人に見せて同じポーズしてもらったらいいでしょ!!」
「日山くんがそんなことしてくれるわけないじゃん!!」
泣きつく私をかよたんが無理やり引き離す。
「…とにかく、私は戦場へ行ってくる。
美緒はまずテストに向けて頑張りな」
「か、かよたん……」
──と、まあ茶番はここまでにしておき、私は仕方なく補習を行う教室へ向かうことに。


