一刻も早くここから立ち去りたいと思った俺は素っ気ない態度で教室を出る。

早足で廊下を歩いていると、後ろの方から

「めっちゃ好き〜〜〜!!」

「アイラブユウ〜〜〜!!!」

などとの叫び声が聞こえてくる。


……うるせえ。

あいつの声もうるさいけど、

心臓もうるさくて…


男子トイレに駆け込み、息を整える。

ふと鏡を見ると自分のとんでもない姿にギョッとする。


「…は?何だよ、この顔……」


りんごのように紅潮した自分の顔が鏡に映っている。

何でこんな格好悪い顔してるんだ…

きっっっっしょ!!


まるで、自分が自分じゃないみたいな表情をしていて頭が混乱状態だ。

心臓の鼓動も速く、体全身が燃えそうなくらい熱い。



──ありえない。

嫌いなはずなのに。

あんな女にドキドキしてるなんて……

今の俺、きもすぎて吐き気がする。

語彙力も「きもい」しか出てこない。



必死に自分に言い聞かせ、このよくわからない感情に俺は約1時間程頭を抱えた。