その時の彼女の表情がとても綺麗で、
可憐で、目を逸らすことが出来なくて。
ぼんやりと惚けていると、
「…日山くん?」
花崎に声をかけられ、ハッと我に返った。
ドクドクとうるさい心臓、
背中に冷や汗が流れた。
──あれ、俺、今一瞬こいつのこと"かわいい"とか思った…??
いや、まさかな。
こんな変な女がかわいいとか……
「……俺、もう帰る」
花崎の目を見れなくなった俺は急いでこの場から立ち去ろうとする。
「あ!ちょっと待って!!」
後ろから袖を掴まれ、ドキッと心臓が口から出そうになった。
動揺しているのをバレないように「何?」と言って振り返る。
「えっと、あのさ!私と友達になってくれませんか!?」
「…は?」
花崎は俺のこと好きなくせに
『友達になりたい』
とか
『もっと知りたい』
とか言ってきて一体何がしたいんだ?と思った。
だけど、気がつけば俺も
「花崎さんのこと知りたい」
みたいなこと発していて。
何故こんなことを口に出していたのか自分でも分かっていない。