イメージを人に押し付けて勝手にがっかりする奴が嫌いだ。
兄貴と比べてくる奴が嫌いだ。
聞いてないのに自分の話しかしてこない奴が嫌いだ。
──花崎 美緒とかいう奴も嫌いだ。
しかし、拒絶したにも関わらず、俺は花崎の前に現れることになる。
「王子!!王子ーっ!!!」
花崎 美緒の友人、穂波さんが慌てた様子で俺の所へやって来た。
「美緒が!美緒が王子ガチ勢の先輩たちに呼び出されてさ!助けに行ってほしいの!!」
「え、穂波さ──」
「もし美緒助けに行かなかったらあんたのその胡散臭いキャラ皆にバラすから」
「……」
瞳孔を全開にして中指を立ててくる穂波さんに脅された俺は仕方なく花崎を助けに行った。
そしてやっと見つけると花崎は本当に先輩たちに絡まれていた。
ビンタをくらう寸前に来ることができ、心の中で安堵のため息をつく。
なんとか無傷で彼女を助けられたが、もしビンタされていれば穂波さんにぶん殴られていただろう。
「日山くん、ありがとう!」
花崎が無邪気な笑顔でお礼を言ってくる。
『俺の前に現れるなよ』と言ったくせに自分から来てしまうとは思わなくて、あまりの気まずさに目を逸らした。


