ガラッと扉を開け、散らかったノートを急いで拾っている人物と目が合う。


「花崎、さん…?」


最悪だ───

そう思った。

今日は厄日かもしれないとも思った。


「…ご、ごきげんよう」


顔を真っ青にしながら挨拶をしてくる彼女。


朝の時の態度と全く違う。

…こいつ、俺の会話聞いてたのか?

だとしたらまずいな、一応俺に好意寄せてくれてた奴だし……

今まで俺の素を女の子にバレたことなかったけど、とりあえず顔近づけて迫っとけば黙っててくれるだろう。

完全に女子のことを舐めていた俺は作戦通り花崎を壁に追い込み、距離を詰めた。


だが───


「最高すぎる!!!
最高すぎるよとわぴ!!!!」

とか、

「王子様的存在の日山永遠くんがまさか公式と顔も性格も完っっっ全に(以下略)」

とかとか。

予想外の反応をされて逆にこっちが混乱した。


目を輝かせながらゲームの説明し出すし、正直話についていけなかった。

でも、この女も所詮顔で俺を好きになった奴だ。

しかも俺がこいつの推しかなんかに似てるとかどうとか言ってきて……


だから花崎が俺に対しての"好き"を勘違いだと否定し、拒絶した。