顔面偏差値桁違い野郎って何?
褒めてんの?貶してんの?

教室に一人取り残された俺は深森に電話をかける。


「…おい、お前何先に帰ってんだよ」

《うわ、激おこじゃん、ウケる〜。
ってかまだ学校いんの?》

「さっき名前知らない奴に告られたんだけど、断ったら泣きながら抱きついてきたんだよ。
しかもそいつのリップが付いて制服汚れたし…
あのクソ女マジで許さねぇ」


ほんと、今日は最悪だ。

先日バラの花束を持って告白してきた女がまた現れて犬みたいにキャンキャン吠えてうるさかったし、変な空気になった…

そして先程抱きついてきた女のリップがカッターシャツについてしまうなど。

不快でしかない1日だった…


「──つーか、ちょっと優しくされたくらいで俺のこと好きになるとか女ってマジで馬鹿だよな」

《おいおい、学園の王子様がそんなこと言ってるの知ったら女の子皆泣くぞ〜?》

「んなの知らねーし、勝手に想像してるそいつらが──…」



ばさぁっ!!!



深森との通話中に教室の外から物が散乱したような音が聞こえた。


「…あ?誰かいる?わり、ちょっと切るわ」

《お〜》


通話終了ボタンを押し、ポケットにスマホをしまう。