こいつ……
俺に告白したよな?

…まさかとは思うが、俺と電車で会ったの忘れている?


この人のことを少しでも興味を持ってしまった気持ちを返してほしいというのと、

俺のこと忘れられていてなんか腹立つ

という2つの感情が混ざり合った結果──

「ごめんなさい」

きっぱりと断った。


「永遠〜あの子と知り合い?」

「知らん」


深森の質問に即答すると、「えっ!?」と驚いた声が返ってきた。


「お前、花崎美緒ちゃん知らねーの!?」

「……花崎?」

「そう!見た目詐欺美少女って言われてる子」


見た目詐欺って何?
なんか、広告詐欺みたいな言い方だな…


「艶のある黒髪に透き通った白い肌、守ってあげたくなるような儚げな表情…!そして華奢な体つきに、細い腰…スカートから覗くすべすべしてそうな足…!あの控えめな胸が逆にそそられるんだよな〜」


興味ねえ〜〜〜〜っ

と思いながら「ふーん」と適当に相槌を打つ。


「でもあの子すっごい乙女ゲームオタクで毎日教室で『推ししか勝たん!!』って叫んでるらしいよ。まさに残念系美少女!」


深森の情報で彼女、花崎 美緒という人物を知ったが、もう関わることはないだろう…と聞き流す程度だった。


だが、まさかその女に俺の素を見られるとはこの時思いもしなかった──