だが、その時───
「──花崎さん」
ガラッと扉が開かれたと同時に聞き覚えのある声がした。
「やっと見つけた、こんな所にいたんだ」
「ひ、日山くん…?」
どうして貴方様がここに…!?
あれ、今"やっと見つけた"って言った?
「お、王子……」
先輩は私の胸ぐらを掴んだまま、サーッと顔を真っ青にする。
日山くんは私たちの前までやって来て真顔で先輩を見下ろした。
「……」
「お、王子…違うの、これは──…」
どういう言い訳をしようか必死に考えている先輩に日山くんはそっと彼女の腕を取り、
「先輩、俺のためにこんなことしないでください…」
と、うるうるとした瞳でそう言った。
「「っ…!?」」
ぽかんと口を開ける私と顔を真っ赤にし、動揺する先輩。
「おおお王子…あの…っ」
「やめましょうよ、こうゆうの。
俺が知らない所で女の子たちが争いをしているなんて……」
するりと日山くんは先輩の手を両手で優しく握る。
「先輩方が怖い顔するの、俺嫌だな…」
「「「〜〜〜っ!!??」」」
先輩たちはキャパオーバーなのか、頭部から湯気が出そうなくらい顔を紅潮させる。


