「何歳上なの?」
「10個上」
「10個上ぇっ!?」
どうしよう、家族構成も推しと一緒だなんて…!!
こんな偶然ってあるのでしょうか!?
「…花崎さんこそ、何で保育園にギター持ってきてんの?」
「ん?私?私はね、ボランティアで毎週水曜日に弾き語りしに来てるんだ〜!」
そう言うと日山くんは「ふーん」と言って私が背負っているギターをじっと見つめた。
……めっちゃ普通に喋っちゃってる。
日山くんのお顔を拝めて嬉しいけど、私は今すぐこの場から立ち去らなければならない。
し〜んと沈黙が続き、気まずい空気に耐えられなくなる。
「…そ、それでは私はここで…ごきげんよう〜」
そそくさと帰ろうとすると悠くんが「まって!」と言ってスカートの裾を掴んだ。
「みおちゃんいっしょにかえるっていった」
「ええ…でも玄関までって……」
「みおちゃんもいっしょにかえるの!!」
悠くん、私も帰りたいよ。
…でもね、迎えに来てくれたお家の人が日山くんだから無理なんだ。
本人にはすごい嫌われてるから私がいるとご迷惑を掛けしてしまう。
「悠、花崎さん困ってるから手離して」
「やだ!!」
日山くんが私に気を遣ってくれて思わずキュンッとときめいた。


