「いいよ!なんでも弾いてあげるよ!
でもまずは失恋ソングを───」
「「やだ〜!!」」
「な〜んで〜〜!?」
日山くんから『二度と現れるな』だったり、
『お前みたいな女絶対好きにならねー』みたいなこと言われてさすがに傷ついた。
告白を断られた時も悲しかったけど、あんな拒絶されるとは……
まだ日山くんのこと好きだけどめっちゃ嫌そうな顔されるし、会わないのが正解だよね。
まあ、本人を遠くから眺めるだけなら怒られないだろうし……
『今回の相手が俺だったからよかったものの、もしそうじゃない奴ならお前、とんでもないくらい最低な人間だぞ』
日山くんの言葉が脳裏に再生される。
…いや、日山くんも割と人のこと言えなくない?
あの人、女の子のこと『クソ』って言ってたよ?
「みおちゃん」
「…ん?悠くん、どうしたの?」
年少クラスの悠くんがくいっと袖を引っ張った。
「ぼく、みおちゃんがギターひいてるとこすき」
ほんのり顔を赤らめた悠くんが俯きがちにそう言った。
あまりの可愛さにキュンッと胸がときめき、そっと悠くんを抱きしめた。
お持ち帰りしたい…
でもこの子の笑顔は奪いたくない…
「悠く〜ん、お家の方が迎えに来てくれたよ〜」
保育士さんの声かけに悠くんは「は〜い」と返事をする。