「私、日山くんに振り向いてもらうためにもっと仲良くなりたいんだ〜!」

「…へー。言っとくけど俺、お前みたいな女絶対好きになんかなんねーし。そもそもタイプじゃない」

「タイプじゃなかったとしても私はエベレストと同じくらい日山くんのことが好きだよ!」


彼に対しての"好き"の大きさを両手で満遍なく広げ、表現する。


「…お前の思考どうなってんの?
しかも俺、2回くらい振ったはずだけど?」

「え!?日山くん私が告白した回数数えてくれてたの!?」

「あーもう、めんどくせ〜〜〜っ」

「マジで疲れるわぁ…」とため息をつく日山くん。


「大体お前、俺のこと好きじゃねえだろ」

「好きだよ!さっきから何回も言ってんじゃん!」

「いいや、違うね。お前は俺をその"推し"?とか言う人物に当てはめてるとしか思えない。
つまり、俺を恋愛対象として見ていないんだよ」

「そんなこと──」

「──じゃあ、俺の好きな所言ってみろよ」


そう言われ、私は口を開くが、すぐに閉じてしまう。

それを見た日山くんは鼻で笑い、「やっぱりな…」と呟いた。


「お前が俺に対する気持ちは恋でもなんでもない。ただの勘違いだよ」


私の横を通り過ぎた日山くんはガラッと扉を開ける。