「──で、そんな花崎ちゃんのかっこいい姿を見て一部の人たちが"勇者"って渾名で呼んでるらしいよ〜」
「…ふーん、そんなことよりとわぴ!」
「いや、花崎ちゃんめっちゃ無関心〜!」
全く気にしていなさそうにへらへらと深森くんは笑っている。
「廊下でばったり出会っちゃうなんて運命だね!私たちってやっぱり運命の赤い糸で結ばれ──」
「じゃあ俺たち移動教室だからもう行くね」
口説いている最中に日山くんはこの場から去ろうとする。
「ちょいちょいちょい!
とわぴ!私今口説いてたんだけど!?」
「そうだぞ、とわぴ〜。
花崎ちゃんの全力のアピール無視しちゃ可哀想だぞ〜?」
のしっと深森くんが私の頭に腕を乗せてきた。
「チャラ森くんの言う通りだよ、とわぴ!
私にあんな姿まで見せておいて…!!」
「え、あんな姿って何!?
花崎ちゃん!!詳しく!!」
ゔ…っと顔を両手で覆い、指の隙間から日山くんの顔を窺う。
そして何故か深森くんはノリノリである。
するといつの間にか日山くんが目の前に来ており、
「花崎さん、ちょっと…」
と腕を掴まれ、引っ張られるように歩かされた。


