ペラペラと早口で喋り、最後まで言い切ろうとした時。

日山くんは腰を曲げ、首を少し傾けた。

ふわりと爽やかな香りが鼻をくすぐり、彼の顔が徐々に近づいてきて、

気がついた頃には唇を重ねられていた。


日山くんはそっと唇を離すと可笑しそうにフッと笑い、「マヌケ顔」と呟いた。

ぽかんとしていた私は日山くんに今何をされたのかようやく理解し、じわじわ顔に熱が集まっていく。


「いいい今チューをする雰囲気だったでしょうか!?」

「美緒の機嫌が悪かったから?」

「何故疑問系!?」


そして日山くん、ツンデレ要素どこいった!?

私、ツンデレじゃなくなってる日山くん若干寂しく思ってるんだよ!?

最近の日山くんも甘々で悪くはないけども!!


「別にさ、他人がどうこう言おうと気にしなくていいんじゃねえの」

「えっ…」

「さっきのおばあさんは兄妹に見えたのかもしんないけど、捉え方って人それぞれだし、俺らは正真正銘付き合ってんだからさ。関係ない人たちは勝手に言わせとけばいいし、いつも通り今の距離で美緒と少しずつ進んでいきたいって思ってんだけど……」

「御意!!!」

「即答かよ」