──それは、学校の帰りに

日山くん、深森くん、かよたん、私の4人で駅前に新しくできたクレープ屋さんへ行った時のこと。

それぞれ自分が食べたいクレープを選んで会計を済まし、「おいしいね」と言いながら幸せな気分に浸っていた。


「口元にクリームついてる」

「んぶっ……ありがとう日山くん!」


日山くんが親指の腹でそっと口元についてるクリームを拭ってくれた時───…


「いいお兄ちゃんだね〜」


通りすがりのおばあちゃんが微笑ましそうに私たちを見ていたのだ。


「…いえ、お兄ちゃんじゃなくて彼氏です」

「そうかいそうかい。妹さんは優しいお兄ちゃんがいて幸せ者だね〜」

「いや、だから日山くんは兄ではなく彼氏です!!」

「お兄ちゃんのことは大切にしなさいね〜」


「じゃあね〜」と手を振ってニコニコしながら去って行くおばあちゃん。