だけど、その2人が付き合う前のこと。

夏休み前くらいの頃に"王子、好きな人がいるってよ"疑惑が噂されていたのだ。


そんな噂が流れたのも花崎ちゃんたちのクラスが体育の授業をしていた時。

永遠は彼女が体育をしている姿を微笑ましそうに眺めていた。

自分の世界に入り込んでいたのか、授業中先生に当てられていたにも関わらず、聞こえていない様子だった。

クラスメイト一同は

『王子、あんな愛しそうな顔するんだ、尊いな…』

と、心の中でそう思ったらしい。


おれのクラスメイトたちが平和主義なメンバーでよかった…



「いいか、モブども!もうすぐ花崎ちゃんがうちのクラスに来るからカップルを視界に入って虚しい気持ちになりたくない奴は教室(ここ)から逃げるのです。わかったな?」


おれがそう言うとモブども(クラスメイトたち)は不服そうな表情を浮かべる。


「モブどもって…深森だってモブにすぎないだろ」

「おれは永遠の親友だからモブでもなんでもないのだよ。残念だったなぁ!!」

「うわ、うぜ〜!」