勢いよくこちらに振り向き、顔を真っ赤にした美緒と視線が絡む。
「なんっ、なん、なんっ…日山氏…何をして……」
「ムカついたから"俺の"って印つけといた」
「わたっ、私ちゃんと断ったからね!?」
「こうでもしないとまた今日みたいに男寄ってくんじゃん」
「いやいや、私のような女を好きになっていただけるなんて……」
「実際いんじゃん、美緒のこと好きになってる奴」
「あー…えっと…千花くん…とか…?」
「ちっげーよ!俺だよ!!」
「ですよね、すみません!!」
彼女の口から"チカくん"の名前が出てきて先程まで癒されていた気持ちが一気に急降下していく。
最近、美緒より俺ばっか好きになってる気がする。
前までは向こうからずっと想いを伝えられてたのに今じゃ立場が逆だ。
悶々と考えている俺を見た美緒は立ち上がり、ケースからギターを取り出した。
「ごめんね、日山くん。不安にさせたよね。でも大丈夫!私は日山くんしか見てないよ!だからそれを証明するために今から1曲貴方様に贈る歌を歌います!!」


