それはとある昼休みのこと───
購買で昼食のパンを買い、教室に戻っていた途中、俺はとんでもないものを見てしまった。
「花崎さん!好きです!僕と付き合ってください!!」
美緒が知らない男に告白されている現場を目撃し、思わず足を止めた俺は手に持っていたパンをぽとりと床へ落とした。
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「ひーやーまーくーん」
アコースティックギターを背負った美緒が不思議そうしながら顔を覗き込んでくる。
昼休みの出来事を目撃した俺は午後の授業からずっとそのことばかり考えていて、気づけば放課後になっていた。
…というか、そもそもこんな変な奴好きになる男がいたんだな。
こいつに告白してた奴、相当頭おかしいんだろうな。
ん?待てこれ、頭おかしい奴って俺じゃん。
うわ、ブーメランかよ。
「日山くーん!日山くん日山くん日山くん!!」
美緒はぺちぺちと小さい手で両頬を叩いた後、ムニーッとそれを伸ばして呑気に人の顔で遊び出す。
「やめろや」と言って同じようにほっぺたを引っ張って仕返しすると、
「うひゃ〜!」と幼児みたいに喜ぶ彼女にぎゅっと心臓を締め付けられた。