「愛してくんないの?」
「愛します!!!」
「…ふはっ、知ってる。俺も美緒いっぱい愛でる」
「愛でるて!!」
なんだか可笑しくなってしまい、私たちはクスクス笑う。
──好きだなぁ、これまさか夢とかじゃないよね?
ゆるゆるになった頬を手で覆い隠していると日山くんが私の名前を呼ぶ。
「美緒」
「ん?何、日山く───」
彼の方を振り向いた時、ぐいっと腕を引っ張られ、日山くんの顔がすぐ近くにあり、
「推しなんかより俺の方がいいってこと分からせるから」
耳元で囁かれ、思わず彼から距離を取ってしまう。
とととと突然どうしたこの人!?
何故急に推しのことを…!?
もしかして日山くんまだ推しの方が好きだと勘違いして──!?
パクパクと耳を押さえながら見上げると当の本人はいたずらっ子のような笑みを浮かべている。
…な、なんじゃい!!その顔は!!!


