当時は3本の赤いバラのことしか考えていなかったため、他の本数の意味は見ていなかった。
「…12本の花束の意味って何なの?」
恐る恐るそう聞くと日山くんは「調べてみて」と答えた。
…教えてくれたっていいじゃん。
不満げに思いながらスマホで「バラ 本数 意味」と検索する。
1本目から順番にスクロールしていき、12本目までたどり着く。
「えーと、12本のバラの花言葉は───…
『私と付き合ってください』」
───えっ…
バッと顔を上げると彼は優しげな瞳で微笑んでいる。
そして思わず手に持っていたスマホを落としてしまい、ドクドクと徐々に心臓が高鳴っていく。
「ひ、ひやまく…私たち…両想いってことで……」
───いいんだよね?
動揺のあまり口が回らない。
すると日山くんはゆっくりと頷き、
「そうだよ、俺たち両想い」
そう言ってバラの花束を差し出した。
「うそ…ひやまくんいつから私のこと……?」
「…わかんない。美緒の笑顔とか…美緒と関わっていくうちに気づいたら好きになってた」
「っ……!!」
「──だからさ、美緒」
バラの花束を持っていないもう片方の手を日山くんがぎゅっと握り───
「俺と付き合ってくれませんか」


