「…美緒の方がかわいいと思うけど」
「…へっ」
「遊園地の時も"かわいい"って言いたかったけど、言えなかったから……」
「Oh…」
…なんということでしょう。
あの日山くんがデレている…!!
いつも謎のツンデレキャラにチェンジするくせに、今はデレしか入っていない…
やだ、奥さん!日山くんのデレだなんて貴重じゃありませんか!!
「あ、あの…今の台詞録音したいのでもう一度言っていただいてもよろしいでしょうか…」
「…は?嫌なんだけど」
「な〜んで〜〜〜っ!?」
日山くんが初めてデレたっていう記念日に記録して毎日のモチベーションアップに活用させてもらおうと思ってたのに…!!
「こら〜そこの若いお2人さん。玄関前でイチャつくと近所迷惑なので中に入ってから続きをしなさい」
玄関のドアから高身長で端正な顔立ちをした男の人がひょっこりと顔を出して私たちにそう言った。
なんかあの人、日山くんと雰囲気似ているような…
日山くんは私の表情を見て察したのか「あれ兄貴」と教えてくれる。
「お、お兄さんっ!!?ああああの!初めまして!!私、花崎 美緒と申します!!日山くんのセ○ムをしています!!」
「セ○ム?」
「その単語は無視していいから」
「つまらないものですが!!これ、近くのケーキ屋で買ってきたタルトです!!ご家族の方とお召し上がりください!!」


