今、この状況に理解できず、頭がこんがらがった。
この時、私は疑問に思った。
何故、日山くんに抱きしめられているのだろう…と───
いや、嬉しいよ?
とても嬉しいよ?
なんかイケメン特有のいい匂いするし…
心臓もバクバク動いてるし、体温も熱いし…
あれ、この心臓の音どっちの?
私の音?それとも日山くんの音?
「えと…日山氏」
「…ん」
「何故私は貴方様に抱きしめられているのでしょうか…」
「…俺に抱きしめられるの嫌?」
「いえ、大歓迎です。ありがとうございます」
日山くんの温もりとせっけんのような爽やかな香りを堪能しているとそっと体を離される。
そしてほんのりと頬が赤い日山くんと目が合う。
「…これは、美緒に対しての気持ちと返事」
「キモチとヘンジ…」
「──…と、美緒を傷つけたお詫び」
「オワビ…」
日山くんが言ったことをカタコトで復唱する。
「遊園地の日、美緒を突き放すようなこと言ってごめん」
「あ、いえ…私もでべそって言ってごめんね」
「それはムカついた」
「ですよね」
「…まあ、"でべそ"って言われてムカついたのもあるけど、俺は美緒とチカくんが仲良さそうにしてるのを見て……それもムカついた」
「え、日山くんそれって……」