速水に言い返す気力を失い、何もかも面倒になる。


「───だけど、今の日山くん人間らしくて…ださいけどなんかオレ、好きだ」

「……は?何で急に告ってきたの?きもいんだけど…」

「い、いやいや!!ライクの方だから!!何で恋愛的な意味に捉えんのさ!!」


速水(こいつ)が何故気に食わないのか、なんとなくわかった。

この男は、速水 千花は、美緒と少し似ているからなのだと……

どこがどう似ているのかははっきり言えないけど、

思い返せば、初対面の頃から速水の前では素で話していた気がする。

だけど、こいつは美緒みたいにがっかりするような素振りもなく、普通に俺と会話していた。


「…と、とにかく!美緒ちゃんと付き合うのはオレだから!!後から文句言ったって、知らねえから!!動こうとしない日山くんが悪いから!!」

速水は「じゃあね!!」と言って自分の教室へ帰っていく。







「チカく〜ん、ライバルに背中押してあげるとかかっこいいことすんじゃ〜ん」

「…深森くん…聞いてたのかよ……」

「いや、教室の外まで丸聞こえだったからさ〜」

「…言っとくけど、日山くんの背中押したわけじゃないよ。オレはただ美緒ちゃんが幸せになってほしいだけだから……」